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第1章 目的と対象|世界第4位 日本のコーヒー市場の変遷と特質 ~輸入と消費~

世界第4位の市場規模を誇る日本のコーヒー市場は、世界でも例を見ない市場の特質と消費者嗜好があります。本稿では日本のコーヒー市場に着目し、細部にわたる市場分析から、日本のコーヒー市場の特質と特有な消費者志向を四章構成のレポート形式でお伝えしていきます。

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レポートタイトル 

『日本のコーヒー市場の変遷と特質 ー世界第4位日本のコーヒー豆輸入と消費ー』

 

目的  (1-1)

コーヒーは世界約60か国以上で生産され、石油に次ぐ国際貿易商品であり、世界中で消費者の生活に今や欠かせない嗜好飲料となっている。

コーヒー生豆(green coffee)は日本国内では生産が出来ないために、全て輸入に頼っている。日本の輸入量は、世界で上位の輸入国である。

ICO※1の統計データによれば、現在日本は、輸入量では世界4位、消費量※2では世界3位である。日本におけるコーヒーの消費は、レギュラーコーヒー、インスタントコーヒー、缶コーヒー、ボトルコーヒーの主に4つの製品形態から成り立っている。また日本人の発想から生まれた缶コーヒーの消費が、日本の特徴の1つとされている。

2012年の市場規模は、レギュラーコーヒーで約377億円、インスタントコーヒーで約698億円という巨大なマーケットを形成している。国内の嗜好飲料の消費では、レギュラーコーヒーとインスタントコーヒーの合計が約50万トンで茶や炭酸飲料を超す消費量となっている(2012年)。

日本は世界で上位の輸入大国、消費大国でありながら国民1人当たりの消費量※3を見ると、世界的に見てかなり少ない。そこで、本稿では日本のコーヒー市場の分析を通し、その要因と市場の特質を検討することにした。嗜好飲料のうちで最も消費量の多いコーヒーは幅広い市場を形成しているため、その第一歩として家庭用市場についてその要因と市場の特徴を考察することにした。

 *1 *2 *3

先行研究の紹介  (1-2)

辻村英之(2009)「おいしいコーヒーの経済論 辻村英之」を本稿の先行研究とする。コーヒーの生産から消費に至るまでの内容を参考とし、本稿の作成にあたっていく。

この先行研究はコーヒーの生産者(本先行研究ではタンザニアキリマンジャロ山付近を生産地とする)と消費者は経済的に不公平な関係にあり、貿易取引に見られる不公平さについての考察をテーマにしている。また、フードシステム、価格形成、生産者の経済経営、および日本のコーヒー産業を踏まえてコーヒー生産国と消費国が共に経済発展していくことも目的としている。

 

本稿の構成  (1-3)

これ以降は以下のような構成で分析を進める。

2章では、コーヒーの生産から消費者に至るまでの概要や、日本を含めた世界各国の輸入量・消費量を説明しその中で日本のコーヒー市場はどのようなものかを説明する。

3章では、家庭用レギュラー市場に着目し、そこから日本のコーヒー市場の特質を細かく分析していく。

4章では、本稿全体から分かる日本のコーヒー市場の特質と課題について述べる。

 

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*1:※1 ICO(International CoffeeOrganization)とは国際コーヒー機関を指す。本研究では、ロシア、カナダ、オーストラリア等のICO非加盟国は研究対象外とする。

*2:※2 本稿では、消費量とは生豆を加工した時点で消費量とみなす。

*3:※3 本稿では、1人当たりの消費量とは、最終消費者がコーヒーを飲用した量を指す。