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ファミマ「エチオピアモカ」

 

ファミマシリーズのドリップコーヒー「ブルーマウンテンブレンド」に続いて、「エチオピアモカ」 レビューをご紹介します。

 

ファミマ「エチオピアモカ

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手軽に淹れられるドリップバッグ付きドリップコーヒー「エチオピアモカ」。

カップにセットしてお湯を注ぐだけというお手軽さがやはりドリップバッグ付きのメリットですね。

価格も3個入りでの販売で212円(税込228円)ですのでだいぶ安いですね!

1杯あたり約70円。

かなり安い。

パッケージの表示を見ると、

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この商品はエチオピアモカの最高等級豆「グレード1(G1)」を30%使用しております。

 という記載もあります。

エチオピア産コーヒー豆の格付けはグレード1~5に分類されます。

格付けの基準は、コーヒー豆300グラム中の欠点豆(虫に食われている、割れている、粒が小さい等、何らかの欠陥がある豆を「欠点豆」という。)の数で格付けが決まります。

そのうちの一番格付けの高いG1が使用されているんですね。

G1は300グラム中の欠点豆が0~3個ほどといわれてます。

かなり品質が整っているコーヒー豆なのです。

このG1が30%使用とのことなので、他は低い格付けの豆を使用しているのでしょうか。

さすがに、1袋70円という値段で、G1が100%使用されているということはないですよね。

 

苦みが印象に残るエチオピアモカ

パッケージには

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フルーティな香りとまろやかな味わいのドリップコーヒーです。

とあります。

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封を開けて、粉の香りはフルーティな感じはありますね。

けどちょっと物足りないフルーティさかな〜と思います。

実際に飲んでみた感想としても、フルーティな香りというのはちょっと弱いかなぁ~という感想です。

その代わりに、まろやかさというのは感じられました。

舌触りもなめらかで、スッと喉を通り過ぎていく感じがあります。

酸味・苦みでいえば、苦みが少し強め。

後味にも僅かに苦みの余韻があり、お肉を食べた後に赤ワインを飲む的な感覚がありますね。(分かりづらい例えですみません。)

嫌な後味ではないので、全体的に不味くはないですね。

苦めが好みという人はおススメです。

 

まとめ
商品名 ドリップコーヒー エチオピアモカ
価格 298円(税込 321円)
生豆原産国 エチオピア
内容量 3袋入り(8ℊ × 3袋)
製造者 キーコーヒー株式会社
特徴  酸味:★☆☆☆☆
 苦み:★★★☆☆
 飲みやすさ:★★★☆☆

 

 

こちらもどうぞ!前回レビュー

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これでひとまずTOEIC600点

英語能力の判断材料として用いられているTOEIC

受験者数も多くなってきて、仕事の関係やら何やらで英語のスキルを身につけるのがマストになってる人も多いようです。

TOEICの点数でいうと、600点がまず最初のクリアすべき関門とされています。

そこで、私自身が600点を越すために何をしたかということをご紹介します。

これから勉強を始めるという方は、何かしら参考になれば幸いです。

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はじめに

600点取れば履歴書に書いても恥ずかしくないレベルと言われているTOEIC

しかしそれは職種や業界によって異なるようです。

企業が期待するTOEICスコアは以下のようになっているようです。

 

企業が期待するスコアとは

国際部門 655~865

営業部門 525~775 (営業部門平均490点)

技術部門 480~720 (技術部門平均453点)

海外赴任 555~765 (海外部門平均679点)

中途採用社員 585~795

新入社員 450~650 (新入社員平均498点)

引用(TOEICテスト|TOEIC Listening & Reading Testについて|スコアの目安

 

私も過去に何度も挑戦してきたが、やっとの思いで600点を超しました。

勉強嫌い・英語能力ゼロからのスタートだったのでとても×2しんどかったです。

そしてそのしんどいと思った理由には、たくさんの非効率な労力をかけてきたことが理由としてあります。

そもそも、勉強するということに慣れていないので、非効率的な勉強をしてしまうのがもちろんなのですが、もう少し効率的にできたらなぁ~と悔いは残ります。

なので、その反省も考慮し、どのような勉強方法で、ゼロからTOEIC600点に至ったのかを実体験を基にお伝えしていきます。

 

中学校レベルからスタート

単語、文法、リスニングなど、全てのジャンルを中学校レベルからスタートさせました。

もともと英語が好きではなかったので、中学・高校レベルの英語なんて全然ダメでした。

再び始めたのは大学2年の時なので、ブランクも大分ありました。

なので、英語の基礎中の基礎からスタートしようと、中学校レベルから始めました。

 

1番辛かった『単語』

1番辛かったので、1番最初にお伝えしたいのですが、単語は本当に辛かったです。

暗記は全くもって得意ではないので、頭に入ってもすぐに抜けてしまうんですね。

単語の勉強は精神的にも苦痛で、ホントに投げ出したくなるのですが、ちょっと考え方を変えるだけでものすごく気持ちが楽になります。

それは「忘れるのは当たり前」と思い込むこと。

覚えようとして取り組むと、忘れている時のショックが大きいですが、「単語は忘れるもの」だと思いながらやると、意外と「オレ結構覚えてるなぁ〜」と思うことがチラホラ出てくるんですよね。

それによって、モチベーションも極度に落ちることなく、勉強を続けることができます。

モチベーションって大事ですね!

 

中学校からやり直し「文法」

文法はまさに中学校"1年生"からやり直しです。

しかし、中学校1年生から全ての内容を勉強していくのは、とても時間がかかりますので、重要な部分だけを学習していました。

知識ゼロから勉強する人にとっては、重要な部分だけ勉強するとゆうのも、どこが重要でどこが重要ではないのか、とゆうことすら分からないですよね。

私もそうでした。

そんな人には、出来るだけ薄い問題集を買うことをお勧めします。

近年販売されている問題集ってどれを買っても内容が良いものばかりです。

ですので、内容で買うか買わないかを決めるのではなく、"薄さ"で決めましょう。

薄い問題集の方が本当に重要な部分を凝縮しているので、効率よく勉強できるんですよね。

そして、とにかく回答はもちろん、問題文すらも覚えてしまうくらい繰り返し問題を解いてみて下さい。

完璧になったら、「応用編」というように、1つレベルの上がった問題集に挑戦して下さい。

この時も、出来るだけ薄い問題集で。

 

独り言を話すようになるまで続ける「リスニング」

リスニングは単語の次に辛いものだと個人的には思っています。

単語や文法の勉強なら、文字媒体の勉強なので、覚えられたのか否かというのが目で見て実感できます。

しかしリスニング練習だと、耳で聞くだけで、文字に表すことはないので、身についているのか否かという判断が感覚的なものになってしまうのです。

ですので、まずリスニングのスキルが身についたという第一の判断基準として、「独り言で英語を話すようになる」ことだと思います。

リスニング勉強法の最もポピュラーな手段はシャドーイングです。

シャドーイングを繰り返していると、口の動きが不思議と英語を話すことに慣れてくるんですよね。

シャドーイングを繰り返しているうちに、リスニングのフレーズが頭に残ったりして、電車に乗っている時や、何気なく道を歩いている時に、そのフレーズを口ずさむときがあります。

そこまでくれば、リスニングの勉強もそろそろ身についてきたかな!と思い始めてもよいかと思います。

そして、その調子でリスニングの勉強を続けて下さい。

 

さいごに

自分で勉強してて思いますが、TOEIC600点を取るのはそれほど難しくないと思います。

非効率的なことをたくさんしてきて、改めて思いますが、勉強のコツさえつかめば、600点なんて余裕です。

自頭もなく、受験戦争の世界とは無縁な義務教育を受けてきた人間でもTOEIC600点は取れるのです。

ましてや年齢なんて関係ありません。

40歳、50歳、60歳、70歳・・・という年齢なんて関係なく、第一関門の600点をクリアする人はたくさんいます。

日本ではTOEIC600点取れば、「お!コイツ英語できるんだ!」と思われることも多々あります。

英語に興味がある方なら、ぜひTOEIC600点は取ってほしいと思います。

そして、英語によって開ける世界は本当に広いです!

人生の視野をぜひ「英語」で開いてみてください。

 

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「バーボン」と「ウィスキー」の違いがやっと分かった

 
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数多くあるお酒の中で、「バーボン」と呼ばれるお酒があります。
見た目はウイスキーと何ら変わらなく、私のような素人目線では何も分かりません。
そしてバーボンの魅力は未だマニアの間でしか知られていない部分も多く、初心者には伝わらない部分もたくさんあります。
ここ最近、ウイスキーの魅力に目覚めた勢いで、「バーボン」というものに少し触れていきたいと思います。
 

バーボンとは

 
バーボンとはウイスキーの一種です。
ウイスキーの生産地は主に
以上5カ国です。
「5大ウイスキー」とも呼ばれています。
そしてバーボンとは、上の内のアメリカンウイスキーの一種なのです。
アメリカンウイスキーで、最もポピュラーなのが「バーボンウイスキー」と、ジャックダニエルを誇っている「テネシーウイスキー」です。
つまり、ウイスキーとはこれらを全て一括りにした広い意味を持ちます。
そして、そのウイスキーは国ごとに分類され、その中で、アメリカで生産されているウイスキーの一種が「バーボン」と呼ばれるのです。
 

バーボンは何から作られる?

ウイスキーの原料は以下です。
基本的にはこれらの原料が使われますが、生産国によっても、ウイスキーの種類によっても、使われ方が異なります。
例えば、世界の消費量の大半を占めるスコッチウィスキーの一種「グレーン」とアメリカンウイスキーを代表する「バーボン」を比べると以下のような違いがあるのです。
バーボンは法律上の規定によりトウモロコシの使用量が決められているんですね。
このように、国や種類によって原料が取捨選択され、使用量も異なってきます。
 

バーボン生産の重要ポイント4つ

 
バーボンの魅力は、原料、水、製法、樽の4つにあります。
 

①原料

原料はトウモロコシが中心です。
他のウイスキーでは使用比率の規定はありませんが、バーボンはトウモロコシが51%以上と定められています。
トウモロコシが多く使われることで、甘くてまろやかな味わいになるんです。
 

②水

生産国アメリカ、ケンタッキー州テネシー州の地方風土を活かした、「ライムストーンウォーター」と呼ばれる水が、仕込みに使われています。
ややアルカリ性が強く、硬水なのです。
ちなみに、スコッチでは軟水が使用されています。

③製法

製法はと特に蒸留に魅力が感じられます。
スコッチではアルコール度数94%まで蒸留しますが、バーボンは連続式蒸留器「ビアスチル」、清留装置「ダブラー」という装置を使い65~70%で蒸留します。
蒸留度数が低い分、香味成分が多く残り、豊かな香りと味を生み出すのです。

④樽

ウイスキーの熟成には樽が使われます。
スコッチでは使用済みの樽が使われるのが一般的です。
一方のバーボンでは、新樽が使用され、さらに、樽の内側を焦がすというひと手間を加え、バーボンならではのフレーバーを創り出すのです。

まとめ

最後に、バーボンについて簡単にまとめます。
  • 「バーボン」とはアメリカで生産されるアメリカンウイスキーの一種
  • 原料の大半は「トウモロコシ」
  • 「原料」「水」「製法」「樽」に秘密がある

私自身もまだウイスキー初心者ですが、ざっとまとめるとこんな感じです。
結構奥の深そうなお酒という感じがしますね。

ファミマ「ブルーマウンテンブレンド」

 

ファミマブランドで「ブルーマウンテンブレンド」というのを発見しました!

コンビニのコーヒーのレベルも上がってますね!

早速飲んでみたレビューご紹介!

 

ファミマコレクション ドリップコーヒー 「ブルーマウンテンブレンド

ファミマコレクションのドリップコーヒー「ブルーマウンテンブレンド」は2019年1月発売と、まだ市場に出て間もない製品。

パッケージも高級感を漂わせる写真なので、ついつい手に取ってしまいます。

ドリップバッグ付きなので、カップに設置してお湯を注ぐだけという超簡単にレギュラーコーヒーを飲むことができます。

価格は3袋入りで298円(税込321円)。

超高級なブルーマウンテンを一杯100円で飲めると考えると、だいぶ安いですね!

 

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パッケージには「ブルーマウンテンNo.1配合」とありますね。

ブルーマウンテンコーヒーはジャマイカという国で取れたコーヒー豆というのはご存知ですか?

ジャマイカで採れたコーヒー豆のうち、1番高い格付けなのがこのブルマンNo.1なのです。

ちょっとコーヒーに詳しくなった感じがしてきましたか?

そしてこのコーヒーはファミマとコーヒー大手キーコーヒーの共同開発で製造されたようです。

なのでパッケージ表示の製造者もキーコーヒーとなっています。

 

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なぜ30%?

ただ、実際ブルーマウンテンNo.1という豆が使われているのは30%なんですよね。

あくまでもブレンドコーヒーとして販売していますので。

ではそのほかどんなコーヒー豆が使われているのかといえば、やはりポピュラーなブラジルのコーヒー豆のようです。

 

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飲みやすさ良し

飲んでみると、ブルーマウンテンの特徴を本当に30%取り入れたんだな〜という印象があります。

ブルーマウンテンは結構特徴的で強い風味を持ちますので、それをブレンドで和らげた感じがします。

コーヒーを口に入れた時の滑らかな舌触りが良かったですね!

そして酸味と苦味がそれほど強くないので飲みやすいです。

 

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ファミマでは他にも2種類のコーヒー「キリマンジャロ」「エチオピアモカ」を販売していました。

こちらもだいたい一杯100円くらいの価格。

テイスティングして、自分の好みを知るのも楽しいですよ!

ぜひ試してみて下さい!

 

まとめ
商品名 ドリップコーヒー ブルーマウンテンブレンド
価格 298円(税込 321円)
生豆原産国 ジャマイカ(30%)、ブラジル他
内容量 3袋入り(8ℊ × 3袋)
製造者 キーコーヒー株式会社
特徴  酸味:★☆☆☆☆
 苦み:★★☆☆☆
 飲みやすさ:★★★★☆

想像を絶するカプチーノの奥深さ!

 

カフェメニューを代表する飲み物として存在する「カプチーノ」。

イタリア生まれのエスプレッソ文化から生まれたメニューのひとつです。

名前はよく聞くがいまいちよく分からない。カフェラテとは違う?

という声もよく聞きます。

というわけで今回はカプチーノに着目して、カプチーノって結構奥深いんだよ!ということお伝えします。

 

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意外なところからやってきたカプチーノ

まず最初にお伝えしたいのが、カプチーノって意外ものがきっかけでこの呼び方になったんだよ!ということです。

その意外なものとは、カトリック教会の修道士が着る修道服のこと。

その修道服はカップッチョ(cappuccino)と呼ばれるんですね。

ちょっと「なるほど」と思いませんか?

そしてカプチーノがこの修道服の色に似ている、フォームミルクが修道服のフードのようだ、などの説からカプチーノという名前になったんです。

 

カプチーノとは

カプチーノcappuccino)はイタリアのコーヒー文化のひとつです。

どんなものがカプチーノと呼ばれているかというと、まずカップエスプレッソを注ぎます。

次にスチーマーで温めたミルク「スチームドミルク」と、同じくスチーマーの蒸気できめ細かく泡立てたクリームのようなミルク「フォームドミルク」を注いでいきます。

エスプレッソ、スチームドミルク、フォームドミルクの比率が1:1:1となるのがカプチーノなのです。

本場イタリアでは、苦味が強いカプチーノが好まれているようです。

 

実は知らないカプチーノの種類

一言でカプチーノといっても、実はたくさんの種類のカプチーノがあることを知っていましたか?

大きく分けて7種類カプチーノがあるんです。

カプチーノ・キアロ

エスプレッソに対して、ミルクの量が多いもの

カプチーノ・スクーロ

エスプレッソに対して、ミルクの量が少ないもの

ウエット・カプチーノ

蒸気で泡だてられたフォームミルクより、スチームミルクの量が多いもの

ドライ・カプチーノ

スチームミルクよりフォームミルクの量が多いもの

カプチーノ・コン・カカオ

ココアパウダーをかけたもの

キャラメル・カプチーノ

キャラメルシロップが入ったもの

ヘーゼルナッツ・カプチーノ

ヘーゼルナッツシロップが入ったもの

 

カプチーノの美味しさってどこにある?

カプチーノの美味しさは、なんといっても「ミルク」にあります。

ミルクの泡立て方によって、随分と美味しさが変わってしまうのです。

キメ細かく、なめらかなフォームドミルクとエスプレッソとの相性が、程よく苦みを和らげ、口の中で優しい味に変化していきます。

カプチーノの美味しさはここにあります。

また、シナモンスティックでかき混ぜて飲む事で、シナモンの香りがカプチーノに上品に入り込み、また違った味わいが感じ取れます。

因みに、イタリアではカカオパウダー、アメリカではシナモンが多く使われるようです。

国によっても文化が違うんですね。

あなたの好みはどちら?

 

カプチーノの奥深さとは

カプチーノの美味しさは「ミルク」にあることはお伝えしました。

では奥深さといえば、ミルクの「温度」ではないかと思っています。

ミルクには"甘く感じられる温度"というのが存在します。

それが60度〜65度といわれているのです。

砂糖を使わない甘さと、フォームドミルクのなめらかさが、飲む人をカプチーノの奥深い世界へと導いてくれるのです。

プロのバリスタさんに作ってもらうカプチーノなら、最高な贅沢気分を味わえますので、機会があればぜひカプチーノを注文してみてくださいね。

 

さいごに

コーヒーに触れる機会は多いですが、その分、メニューの違いがいまいち理解できていないという人も多いはず。

よくあるのが、カプチーノとラテの区別が良く分からないという人が多いようです。

どちらも、エスプレッソとミルクでつくるメニューですが、作り方が違うんですね。

そして、ミルクの美味しさを味わいたいのであれば、ぜひカプチーノを飲んでみてください。

この記事を読んでいただけたなら、これまでより何倍も美味しくカプチーノを飲めるはずです!

そしてカプチーノでも、たくさんのアレンジがありますので、その時の気分で味を変えてみるのも楽しいですよ!

 

 

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第4章 総括と考察|世界第4位 日本のコーヒー市場の変遷と特質 ~輸入と消費~

世界第4位の市場規模を誇る日本のコーヒー市場は、世界でも例を見ない市場の特質と消費者嗜好があります。本稿では日本のコーヒー市場に着目し、細部にわたる市場分析から、日本のコーヒー市場の特質と特有な消費者志向を四章構成のレポート形式でお伝えしていきます。

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▼▼▼前回の復習▼▼▼

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研究結果

第1章では本論文の目的と対象を述べた。その目的と対象は、日本の国民1人当たりの消費量が世界的に見て低い要因を、日本のコーヒー市場の分析を通し、その要因と市場の特質を検討することである。コーヒーは幅広い市場を形成しているため、その第一歩として家庭用レギュラーコーヒー市場について考察していくことにした。そして先行研究についての説明し、家庭用レギュラーコーヒー市場を中心に日本のレギュラーコーヒー市場の特質について研究していくことを述べた。各章での研究結果は次のようである。

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第2章では、コーヒーの生豆生産から製品の消費に至るプロセスとその概要を述べた。まず、コーヒー豆の生産は、気候条件に適した限られた地域でのみ栽培ができる。それらの地域はコーヒーベルトと呼ばれ、南北位25度の赤道に沿った約60か国で栽培されている。最大の生産国となっているのはブラジルであり、世界で流通しているコーヒー豆の約35%である約50,000,000袋(60kg / 1袋)を年間で生産している。その結果、ブラジルのコーヒー豆生産は、国際相場に大きな影響を及ぼすまでの規模となっている。

一方の消費の面では、主にヨーロッパを中心とした北半球の国でコーヒーを輸入・消費している。コーヒーの主要輸入国に関する輸入量や消費量のデータを分析すると、コーヒーの主要消費国はヨーロッパに多いことが分かる。生豆輸入国は最大がアメリカで26,066,000袋(2012年)、次いでドイツ21,816,000袋、イタリア8,691,000袋、日本7,025,000の順になっている。アメリカとドイツ両国の輸入量は突出して多くなっている。

日本の生豆の輸入は、戦後1950年の生豆輸入の再開以降、1960年の生豆輸入自由化を発端として2006年まで輸入量が落ちることなく成長している。2006年422,696tで輸入量がピークとなった以降は減少し、2012年では379,982tとなっているが、世界で4番目に多いコーヒー輸入国である。

消費量では、輸入量最大のアメリカが最大の消費国で22,238,000袋(2012年)となっている。次いでドイツ8,830,000袋、日本7,131,000袋、フランス5,789,000袋の順である。しかし、国民1人当たりの消費量で換算すると、ルクセンブルクが一番高く、次いでフィンランドデンマークの順となる。ルクセンブルクが高い要因としては嗜好品に対する関税が安いため隣国からの消費者も多いことが考えられる。国民1人当たりの消費量ではアメリカ15位、日本も17位と位置は低下する。

日本のコーヒー消費量は1990年時点では5,060,000袋で世界第4位だったが、それ以降増加していき、2012年では第3位に上昇している。

コーヒー豆の主要輸入国であるドイツ、イタリア、フランス、ベルギーの各国の需給状況を見てみると、自国で加工消費されるだけでなく、再輸出を行っている国々が多くあることが分かる。特に、ドイツとベルギーは自国消費量よりも再輸出量の方が多くなっている。ドイツの生豆輸入に対する再輸出量の割合は高く約30%とされている。主な輸出先はE.U圏内で、ヨーロッパのコーヒートレードセンターとも言われている。E.Uでは各国が生豆輸入、加工、再輸出の役割を持っておりコミュニティのような形を形成している。

日本では輸入した生豆の90%以上が国内で消費されており、E.U諸国のような再輸出はほぼ皆無に等しい。2013年における日本のコーヒーの需給関係は、供給量が624,783tに対し消費量446,392tである。このうちレギュラーコーヒー向けが353,874t、インスタントコーヒー向けが92,518tとなっており、レギュラーコーヒー向けの消費が約8割と大半を占めている。国内におけるレギュラーコーヒーの需要は、家庭用、業務用、工業用から成り立っている。

日本の嗜好飲料の生産量を見ると、2012年の嗜好飲料の生産量は、茶類が187,762tなのに対し、コーヒーは296,600tで茶類よりも多くなっている。この296,600tの内訳は、レギュラーコーヒーが149,000t、工業用コーヒーが102,600t、インスタントコーヒーが45,000tである。レギュラーコーヒーに次いで缶コーヒーを主用途とする工業用コーヒーの生産量が多くなっている。

1960年に生豆輸入が自由化されて以降、近年まで需要は成長してきた。1970年から2012年の需要別推移を見ると業務用の成長が停滞する一方、家庭用と工業用の需要が大きく成長してきた。家庭用製品の生産量は1970年で2,592tだったが、2010年では76,900tまで成長し、工業用では、1975年で3,600tだったのが、2012年まで成長し続け102,600tまで成長している。近年の3つの需要形態のそれぞれの生産量は工業用102,600t(2012年)、家庭用76,500t、業務用65,400tで工業用が最大の生産量を誇っている。工業用製品の主軸となっている缶コーヒーは日本独自のオリジナルな製品であり、この製品の需要が大きいということが日本のコーヒー市場の1つの特質といえる。

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第3章では、1990年頃から伸びた家庭用レギュラーコーヒー市場の成長と特質を見て分析した。家庭用レギュラーコーヒーは様々な製品形態を持ち、且つ、袋詰め製品の需要が近年増加していることから、袋詰め家庭用レギュラーコーヒーに着目し日本市場の特質を研究した。

まず、家庭用レギュラーコーヒーの製品形態は簡易型、袋詰め、缶詰め、焙り豆の4つの形態があり、1990年代後半を境目に缶詰めから袋詰めに需要が変化した。その変化の要因をメーカーの製品戦略の分析を通して、製品の特性と多様性の観点から検討した。まずメーカーの製品戦略を見ると、1990年代後半に大手メーカーであるUCCキーコーヒーが先陣を切って動いている。それまでの主流であった缶詰型の製品を一転させ、紙缶で容量を少なくしている。品質の優れた豆を使用し、その容器にはコーヒーの本格的な味が楽しめるといった記載によって、消費者に製品特長をよく伝えられるように容器の工夫がされている。これを皮切りに競合する他のメーカーも同様に製品差別化による競争が進んだ結果、袋詰製品の需要が拡大していった。缶詰め型製品の生産量は1994年から2000年にかけて21,500tから4,350tと急減し、一方の袋詰め製品は2,000tから38,500tに急増した。

コーヒー豆には品質によるグレードがあり家庭用レギュラーコーヒーの製品特性を形成している。スペシャルティコーヒー、サステイナブルコーヒー、プレミアムコーヒー、コマーシャルコーヒー、ローグレードコーヒーの5つに分けられる。最も品質の優れているスペシャルティコーヒーは2003年に設立された日本スペシャルティコーヒー協会によって普及したもので、それ以前はプレミアムコーヒーが主に市場に流通していた。欧州など海外市場ではプレミアムコーヒー以下のコマーシャルコーヒーやローグレードコーヒーが主に流通しており、高品質な豆はニッチとして存在しているとされている。加えて、当協会の調査結果から、日本では近年このスペシャルティコーヒーの売上の伸びが確認されている。高品質故に価格も高いにも関わらず、高品質商品の需要が高まっているのである。

日本の家庭用レギュラーコーヒー製品の特長には、製品数の多さ、多様性がある。この点における考察は、POSデータを基に分析した。個人消費量で日本の2倍以上のコーヒーを飲んでいるドイツを例に挙げると、大手焙煎メーカーの販売製品数は一桁台とされているのに対し、日本のメーカーの販売製品数は悠々の二桁に達している。大手に限らず中小メーカーの製品群を分析しても二桁台の製品数販売を行っているところは多くあることから、日本のコーヒー市場における製品数は多さと差別化製品の多様性が確認できる。

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以上のようにメーカーの製品戦略、製品の特性と多様性の観点から見ると日本の家庭用レギュラーコーヒー市場の特質として、高品質な製品の需要が高く製品数が多いということが分かる。

しかし、日本の国民1人当たりの消費量は高くない。輸入量世界4位、消費量世界3位なのに対し国民1人当たり消費量では17位なのである。焙煎豆小売価格の主要5か国の比較結果から見ると、1位のイタリアに次いで高くなっている。高品質・高価格志向という日本人の消費者嗜好が1人当たりの消費量の伸びを抑えている一因ではないだろうか。

 

考察と今後の展望

コーヒーは、世界中で消費されている飲料である。世界で最も消費量が多いアメリカは、国土が広く人口も多く国内産業も発達している。消費量の多いヨーロッパの国々は多くの国が隣接している国が多くあり、産業の発展やその他経済活動において分業化し双方が協力し合う関係が形成される。その点、日本は国土の狭い島国でありながら、世界でもかなり大きなコーヒー市場を持ち、今日までに世界の主要国と言われるまでに市場が発達している。

本研究の結果として、日本は大きなコーヒー市場を持っているものの、国民1人当たりの消費量が低いことの要因は、日本の消費者は高品質・高価格嗜好であることという結果になった。では、価格を低く設定すればこの消費量は伸びるのかと言えば、そのようなことはないと考えられる。価格を下げることは、品質も下げざるを得ず、高品質・高価格嗜好である日本人消費者には適さない。かえって消費量を下げてしまう可能性もある。高品質・高価格嗜好であることから、スペシャルティコーヒーの需要を更に増加させるのではないだろうか。また、本稿で述べたように、日本人は外国人に比べ「浄土」と言われる清らかで穢れが無いもの好む日本人独特の美的意識を持つこともその需要増加に繋がると考える。そのスペシャルティコーヒーにおいては、著者はスペシャルティコーヒーという名称の知名度がまだ低いと実感している。そのため、まず第一に、メーカー側は、その知名度を上げて、スペシャルティコーヒーの存在を多くの消費者に認知してもらうことが重要だと考える。そして、最終的には私たち最終消費者がどう評価するかが重要となる。品質が高いコーヒーも低いコーヒーも味や香りは変わらないと判断してしまえば、更なる需要の成長は期待が出来ない。メーカーは製品を通じて最終消費者とのコミュニケーションを図り製品の特性をよく伝えると共に、高品質製品の差別化やブランド化といった戦略が重要となってくるのではないだろうか。

今後の課題として、国民1人当たりの消費量の低い要因を更に追求していくことが挙げられる。本研究では、消費者の高品質・高価格志向が一因であるという結論に至ったが、著者は、更に追求すればまた新たな要因が発見できるのではないかと予測している。コーヒー市場は幅が広く、複雑であるため容易に見つけ出すことは難しい。しかし、新たに発見された要因が、嗜好飲料市場全体の出荷実績が9,399億円(2012年)あるうち、5,335億円と嗜好飲料類で1番大きな市場を形成しているコーヒー市場を更に発展させていくことに繋がれば幸いである。  

 

参考文献・資料・URL

 

参考文献

  • 辻村英之 「増補版 おいしいコーヒーの経済論「キリマンジャロ」の苦い現実」 太田出版 
  • 山田早苗 「食品知識ミニブックスシリーズ 珈琲入門」 日本食糧新聞社 
  • 正岡幹之 二宮正司 「レギュラーコーヒーの飲用状況と飲用促進策の一考察 大阪経大論集 第64巻第4号 2013年11月 
  • 小川長 「缶コーヒー市場の変貌と商品戦略」

 参考資料

  • 日本食糧新聞社 食品産業事典 改訂第九版 下巻  日刊経済通信社 酒類食品産業の生産・販売シェア 2013年度版 
  • 日刊経済通信社 酒類食品産業の生産・販売シェア 2011年度版  全日本コーヒー協会 コーヒーマイスターテキストブック 
  • 日刊経済通信社 酒類・食品産業 on GRAPHICS -21世紀への設計- 酒類・食品統計月報500号記念増刊号 
  • 日本食糧新聞社 食品トレンド2012~2013 
  • 食生活データ 総合統計年報2014年版 三冬社 
  • スペシャルティコーヒーマーケット市場調査要約 日本スペシャルティコーヒー協会

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第3章 日本の家庭用レギュラーコーヒー市場の特質|世界第4位 日本のコーヒー市場の変遷と特質 ~輸入と消費~

世界第4位の市場規模を誇る日本のコーヒー市場は、世界でも例を見ない市場の特質と消費者嗜好があります。本稿では日本のコーヒー市場に着目し、細部にわたる市場分析から、日本のコーヒー市場の特質と特有な消費者志向を四章構成のレポート形式でお伝えしていきます。

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3章では、近年伸びている家庭用レギュラーコーヒー市場の成長要因と市場の特質について考察する。家庭用コーヒー市場ではインスタントコーヒーの需要が停滞し、1990年代からはレギュラーコーヒーの需要が伸びている。一般に、その要因は本格的な味を求める消費者嗜好によるものと言われている。ここでは、家庭用レギュラーコーヒー市場の成長要因と市場の特質について考察する。

 

製品形態別需要の変化とその要因  (3-1)

 

製品形態別需要  (3-1-1)

 家庭用レギュラーコーヒーの製品形態は、以下の4つに分類される。

缶詰

 元々は輸入品の製品形態として利用されていた。1970代にアメリカからのMJB、ヒルスなどの製品に使用。

焙煎豆

生豆を焙煎した製品で、飲むためには粉砕して粉にしなくてはならない。1970年代には焙豆の生産が大部分を占めており、百貨店や喫茶店で挽き売りしており、焙煎業者も何らかの形で関与していた。1970年代からこの形態は生産量が多く、今日に至るまで大きな変化をもたらすことなく消費されている。

袋詰

1990年代から製品の劣化防止や長期保存を可能にするなどの工夫をするために、アルミや樹脂フィルムなどを使用して袋入りの製品が販売されるようになった。袋詰の普及はとても急速なもので1990年代後半では一番多い生産量となる。

簡易

粉がフィルターにセットされた状態で販売されているもので、お湯をその中に入れるだけでコーヒーを抽出出来、簡便でかつ美味しいコーヒーが飲める商品である。

 

 

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家庭用レギュラーコーヒーの生産量と金額を上の図14に示した。1985年から1994年までは缶詰と炒り豆を中心として生産していた。その期間においての缶詰め型の製品の生産量は急増しており、約10年の間でおよそ3倍である。1990年代の後半は、UCCキーコーヒーの大手焙煎業者の2社が家庭用レギュラーコーヒー「キリマンジャロ」という袋詰め商品を販売し、袋詰め製品が缶詰に変わって消費の急増に繋がっている。

1990年代以降の袋詰の製品がかなりの速さで普及したことが分かる。1994年にはわずか5,000tだったのが1997年には27,000tとなっており、3年間で約5倍生産量が増加している。更に2010年には50,000tを超す生産量となった。逆に缶詰型の製品の需要は衰退していった。缶詰製品はほとんどが400g以上の大容量タイプなので、価格もそれ相当の値で販売されている。缶詰に使用される豆の質は、次の第2節(1)で述べるコマーシャルコーヒーやローグレードコーヒーに位置でけられている豆が多く使用されているため、本格的な味や香りを楽しめるとは言い難い。大容量でも価格が高く品質も下がることが消費者を引き付けられなくなった原因となり、消費低下につながったと考えられる。

そして、袋詰め製品が増加した要因として、缶詰よりも少量で価格も安く、さらに容器包装に様々な工夫がされているため、品質が生産から消費者が飲むまで品質を保つことが出来、美味しく飲めることが大きな要因の1つである。

また、少しずつではあるが簡易型製品も94年から2012年までの長期に渡り徐々に生産量が増加傾向にあり、これ以降も伸びていくことが期待される。特に簡易型はお湯を注ぐだけで手軽に淹れることが出来て味や香りもしっかりしているため、朝の時間の無い時やオフィスで飲む時などの忙しい時でも手間がかからず、簡単に美味しく飲めるようにという顧客ニーズに応えた製品であるためである。

 

需要変化と加工メーカーの製品開発  (3-1-2)

レギュラーコーヒーは、ペーパーフィルターやドリッパー等の道具も必要で、手間もかかるにも関わらず、近年ではインスタントコーヒーよりも需要が大きくなっている。  

消費者嗜好の変化の要因は、良質なものを求める消費者が増加したことといえる。その要因は、需要変化に対応した加工メーカーによる製品開発によるものである。市場シェアトップのUCCは、1999年に家庭用レギュラーコーヒー「焙り豆 紙缶 150g」を発売した。それまでは内容量が200gだったのを150gとし、その代わりにより高品質な豆を使用して販売した。更に、容器に表示される情報も「味わいチャート」を記載し、苦味や酸味などの強弱といったその製品の特徴を消費者に分かりやすく伝えられるように工夫している。UCCはこれを家庭用製品の主体とした。  

同じようにキーコーヒーも1999年に「季節限定珈琲 キリマンジャロ アル―シャAA」というそれまでよりも高品質な豆を使用した製品を発売し、翌年には「キリマンジャロ タンザニアAAプラス」を発売した。

包装されている袋にはUCCの製品と同じように製品の特長を以下のように分かりやすく記載している。

「アフリカ最高峰の裾野で育てられたキリマンジャロコーヒー。その味わいは豊かな香りと酸味、深いコクが特徴です。“AA”は、タンザニアのコーヒーオークションにおいて、大粒で良質な生豆に付けられるグレードです。その中で更に味覚面に優れている生豆に対して“プラス”という格付けがされています。」※4

*1

このように、豆の生産地、香味、品質、格付けなどを詳しく消費者に説明しており、高品質な豆を使用した製品を家庭用製品の主体にしようとした。  

以上のような製品が、UCCキーコーヒーを皮切りに1990年代後半からその他多くのメーカーからも次々と販売されるようになり、家庭用レギュラーコーヒー市場の規模は大きくなっていった。消費者も製品に記載されている情報などが豊富なため、消費者自身もコーヒーに対する情報や知識を豊富に持つようになり嗜好が変化していった。企業のマーケティングにおける表示の工夫や近年における情報の豊富さ、又、コーヒーの知識の増加により消費者も多彩な情報や知識を持つようになったことが消費嗜好の変化に繋がっている。

 

家庭用レギュラーコーヒー製品の特質  (3-2)

 

製品の品質評価とコーヒー豆の階級  (3-2-1)

下の図15はコーヒー豆のランク付けの階級を表したものである。スペシャルティコーヒーとサステイナブルコーヒーの原料豆は、超高品質で他の原料豆と完全な製品差別化をしているために国際相場による価格への影響が少ない。

プレミアムコーヒー以下の原料豆は、国際相場によって価格変動が起こる。

 

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図15 日本のレギュラーコーヒー市場の多層構造

1番上の階級であるスペシャルティコーヒーは1978年にフランスで開かれたコーヒー国際会議で、アメリカのエルナ・クヌッセン女史が「スペシャルティコーヒー」という言葉を初めて使用したことがきっかけとなり世界中に広まった。

スペシャルティコーヒーに限っては、主要輸入国又は地域によってそれぞれ定義が定められている。以下はそれらの定義を示した。

スペシャルティコーヒー

SCAJ(日本スペシャルティコーヒー協会)

「消費者(コーヒーを飲む人)が手に持つカップの中のコーヒーの液体の風味が素晴らしい美味しさであり、消費者が美味しいと評価して満足するコーヒーであること。風味の素晴らしいコーヒーの美味しさとは、際立つ印象的な風味特性があり、爽やかな明るい酸味特性があり、持続する珈琲感が甘さの感覚で消えていくこと。カップの中の風味が素晴らしい美味しさであるためには、コーヒーの豆(種子)からカップまでの全ての段階において、一貫した体制・工程・品質管理が徹底していることが必要である。 (From Seed to Cup)」

 

SCAA(アメリスペシャルティコーヒー協会)

定義としては定めていないが「教育と情報交換を通じてすばらしいコーヒーを育成すること」という概念を持つ。

 

SCAE(ヨーロッパスペシャルティコーヒー協会)

定義は日本と同様に「From Seed to Cup」として定められている。

 

上位2位のコーヒーであるサステイナブルコーヒーは、各国又は地域で異なる定義を持つようなことはないが、生産国の殆どは発展途上国であり、それらの国の経済問題、社会問題、環境問題を解決するといった目標が定められている。  

 

サステイナブルコーヒー

コーヒー産業を持続させるsustainable(持続可能な)という言葉を用いており、コーヒー生産に関る人々の生活水準の向上やコーヒー生産の場である自然環境の保全に貢献する目的で生産され流通するコーヒー。2001年から2004年までのコーヒー危機がきっかけに、このコーヒーが誕生した。コーヒー危機ではコーヒーの過剰生産が起こり、消費者は安い価格で入手できるが生産者はコストを下回る収入しか手に入れることが出来ず、生産者と消費者の間、またそれまでのプロセスであるサプライチェーンに歪みが生じた。そのため、生産者と消費者が共に繁栄していくことを目的としサステイナブルコーヒーが誕生した。

この種のコーヒーは主に生産国に焦点が当てられている。生産国において、多くの生産者が貧困層になっているという経済問題、コーヒー生産のための過度な森林伐採や農薬や化学肥料による土壌汚染などの環境問題、不当に安い賃金で農園労働者を働かせたりするような社会問題、これら3つ問題の解決である。

以下3つのコーヒーは、はっきりと定義が定められている訳ではないが、それぞれ最終製品に適したものが利用されている。  

プレミアムコーヒー

 スペシャリティコーヒーやサステイナブルコーヒーには及ばないが、品種や産地の特性など豆が持っている個性を感じることが出来る高品質なコーヒー。

コマーシャルコーヒー

 上位3つのグレードのコーヒーとは評価基準や評価方法が異なり、安価で取引されている。日本で1番多く流通しているのがコマーシャルコーヒーとなっている。味や香りの均一性が求められる。

ローグレードコーヒー

 缶コーヒー、インスタントコーヒー、リキッドコーヒーに使用されている。また、コーヒー菓子などの加工用にも用いられる。

 

高品質商品の流通  (3-2-2)

第2節 (1) で述べたようにコーヒー豆はランク付けがされており、一番上にランク付けされているものがスペシャルティコーヒーと呼ばれている。

日本ではこのスペシャルティコーヒーは2003年に設立されたスペシャリティコーヒー協会によって普及した。それ以前はプレミアムコーヒーとランク付けされているものが主要となって国内で流通していた。このプレミアムコーヒーはスペシャルティコーヒーよりは品質は劣るが味や香りがしっかりとしており本格的なコーヒーとしては十分に満足することができ、高品質な豆として扱うことが出来る。欧米のコーヒー市場ではプレミアムコーヒーよりもグレードが低いコマーシャルコーヒーが主要となって市場を流通している。グレードが低いため品質は劣り価格も低い。プレミアムコーヒーやその上にランク付けされている豆はニッチ(隙間)として流通している。

スペシャルティコーヒーの普及以前から主要となっていたプレミアムコーヒーでさえ高品質という枠組みに入るので、日本市場と欧米市場を比較すると日本市場の方がハイグレードな豆が流通しており、日本市場の大きな特徴の1つであるといえる。 日本で流通しているコーヒー豆は、価格の面で世界の国々と比較しても価格が高いことが分かる。次の図16は主要国の焙煎豆小売価格を比較したものである。

日本の小売価格は、1位イタリアに次いで2位となっていることが分かる。この要因としては、従来の小規模喫茶店の取引力の弱さ、世界的に見て高い日本の人件費や土地代など様々であるが1番大きい要因としては日本市場では高品質の豆を主要としているため、それだけ多くの高品質な豆を流通していることが挙げられる。

また、日本市場で高品質商品が多く流通している要因として、日本人の国民性という観点からも説明できる。外国人に比べて日本人は「浄土」と言われる清らかで穢れが無いものという独特な美的意識を古くから持っており、これが品質の良いものを好む要因であるともいえる。

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スペシャルティコーヒーの売上を見ると、更に高品質商品の需要が近年高まっていることが分かる。

次の図17は、商社、焙煎業者計34社を対象に日本スペシャルティコーヒー協会が作成した資料である。この調査報告では近年のスペシャルティコーヒーの売上げが、34社中25社が増加したと答え減少したと答えたのがわずか5社となっている。更に今後の売り上げ予測については34社中30社が増加すると回答したとされている。

スペシャルティコーヒーは、殆どが袋詰めで販売され(主に通販やコーヒー豆専門店などで袋詰めで販売されており、スーパーや量販店では販売されていることは少ない)、値段も高く品質も良い。

このようにスペシャルティコーヒーの売上が近年伸びていることから、高品質商品が多く流通していることがいえる。またこれと同時に消費者は高品質を好むようになったことと、こだわりを持った消費者が増えたのではないかともいえる。そして、最終的には家庭用レギュラーコーヒーの生産量増加に繋がっている。  

 

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製品の価格は生産地の天候、国際相場など様々な要因がある。国内の価格形成は、次の図18に示したいくつかの取引によっても新たに価格が形成される。国内における価格形成はほとんどが発展途上国である生産国にとって経済的に不利にさせる場合や不公正にさせる場合があるため、とても重要なものとなる。そのため、消費国である日本市場はそれぞれが自身の経済的利益を過大に追及し、生産者から安すぎる価格で仕入れ、消費者に高すぎる価格で販売するようなことは望ましいとは言えない。しかし、日本のコーヒー市場は品質の良い豆を主流に流通しているため、過度な利益を得ようとしなくても、最終消費者に対する販売価格が高くなってしまう。また生産から消費に至るまで、品質管理等のコストもかかるので、流通においての各過程の取引は重要である。

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製品種類の多さ、多様性  (3-3)


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表10 POSデータ
  メーカー(全58) 金額 売上シェア 製品数
1 UCC上島珈琲 21,897,802 31 67
2 味の素ゼネラルフーヅ 18,094,423 26 42
3 キーコーヒー 10,416,617 15 45
4 片岡物産 3,401,434 5 12
5 小川珈琲 2,565,857 4 23
6 ネスレ日本 1,802,087 3 7
7 名古屋製酪 1,649,581 2 10
8 国太楼 1,289,867 1.84 7
9 藤田珈琲 955,885 1.37 13
10 日本ヒルスコーヒー 858,713 1.23 19
11 ユニマットキャラバン 828,745 1.18 35
12 シンジ―ジャパン 752,353 1.08 3
13 コーヒー乃川島 737,736 1.05 27
14 コブロ 528,837 0.76 3
15 日本生活協同組合連合会 362,777 0.52 8
16 キョーワズ珈琲 323,199 0.46 17
17 ドトールコーヒー 317,636 0.45 5
18 コーヒー・ワークス宮の森珈琲 288,811 0.41 22
19 共栄フーズ 287,721 0.41 9
20 ユニカフェ 257,148 0.37 14
21 日本流通産業 228,099 0.33 4
22 ワールドコーヒー 196,209 0.28 6
23 美鈴コーヒー 181,413 0.26 6
24 銀座コーヒー 160,415 0.23 4
25 ウエシマコーヒー 122,497 0.18 14
26 不明 117,203 0.17 14
27 三本コーヒー 114,045 0.16 16
28 ハマヤ 112,544 0.16 12
29 全国農業協同組合連合会 107,890 0.15 4
30 成城石井 106,380 0.15 6
31 チモトコーヒー 104,789 0.15 8
32 honu加藤珈琲店 84,073 0.12 2
33 宮田屋珈琲 79,464 0.11 2
34 ビッグ・エー 79,389 0.11 2
35 山本珈琲 76,986 0.11 5
36 高尾珈琲 72,991 0.1 4
37 サッポロウエシマコーヒー 57,338 0.08 6
38 加藤産業 41,356 0.06 2
39 神戸はいから食品本舗 40,140 0.06 5
40 森永乳業 39,427 0.06 2
41 八社会 34,894 0.05 2
42 ロイズコーヒーユニオン 34,405 0.05 5
43 アイジェイビーフーズ 27,316 0.04 1
44 珈房サッポロ珈琲館 26,534 0.04 4
45 第一コーヒー 23,142 0.03 2
46 コクテール堂 18,028 0.03 9
47 むそう商事 14,915 0.02 2
48 麻布タカノ 13,230 0.02 3
49 湘南珈琲 13,060 0.02 2
50 進和珈琲 5,742 0.01 2
51 iファミリー 5,056 0.01 2
52 澤井珈琲 4,410 0.01 1
53 ユーシーシーフーヅサプライ 2,054 0 1
54 フェアトレードカンパニー 1,550 0 1
55 神戸珈琲 1,135 0 2
56 珈琲実験室 1,045 0 2
57 バリューネクス 998 0 1
58 エム・シー・フーズ 408 0 1
69,967,799 100 555
資料)KSP-POSデータ(2012年12月)をもとに作成


上の表10、図19、図20はPOSデータを参考とし表したものである。月別の売り上げでは12月が1番高くて69,967,799円、1番低い月は8月で41,239,894円となっている。この売上の差は季節によるものであると考えられる。そのため、暑い季節は売り上げ金額が低く、寒い季節は売上が高い。本研究に用いたPOSデータは1年(2012年)で一番売り上げが高かった12月のデータを参考にした。

市場シェアトップとなっているのがUCC上島コーヒーで2千万円越の規模を有しておりシェア率は約30%、製品数も断トツに多い62の製品数を販売している。2位の味の素ゼネラルフーズ、3位のキーコーヒーも大きなシェアを持っており、これら上位3社で全体の70%のシェアを占めており家庭用レギュラーコーヒー市場は寡占市場となっている。

また、日本のコーヒーの製品の種類の多さは世界一とされている。産地名の単品の豆やブレンドしたもの、更に包装形態も多様で製品の種類は約600種類以上存在している。例として個人消費量で日本の2倍以上のコーヒーを飲んでいるドイツを例に挙げてみると、大手焙煎業者が小売店で販売している製品数は1桁代の数で、消費者はなじみの店で同じ商品を買っていく傾向が強い。新商品に目が行くことは少なく同じ味のコーヒーを長期的に飲み続けるため、生産者側もコストをかけて商品の種類を増やす必要が無く安定した持続的発展を遂げている。

それに対し日本ではトップメーカーの製品販売数は悠々の2桁台である。実際に上のデータからは、シェアがトップのUCC上島コーヒーの2013年1月の全国で販売された製品数は62品となっている。2位以下のメーカーでも2桁の製品数を販売していることが分かる。したがって、日本市場の製品数はとても多いことになる。

シェアが1%未満のメーカー数は45で、全体の6.7%となっている。中小メーカーの数が多いことも日本市場の特質と言える。

我が国では新鮮なものを求める消費者が多いため、生産者側も製品数が多いことに加え品質管理にコストがかかり結果的に商品の価格も上がってしまう。そのため、先にも述べたように焙煎豆小売価格の上昇に繋がる。更に製品差別化による競争が激しくこの製品の多様性が2章で述べたように日本のコーヒー消費量を増加させる要因である。  

製品数が多いことには日本の文化的な背景も関わっているのではないかと考えられる。 製品数が多いことは、何でも購買対象にしたり、商品購買時において購買対象となる選択肢が多くなければ消費者は満足感が得られないといった日本人消費者に応じた戦略をメーカー側が立てているのである。消費者が何でも購買対象にしたり、選択肢が多くなければ満足しないといったことは、日本の古い歴史からみられてきたものである。元々は平安時代菅原道真が和魂漢才を唱えて中国から多くの文化を積極的に取り入れたことに始まる。そして、明治維新では和魂洋才という考えから西洋から多くの文化を取り入れた。その結果、今日の日本にはお正月もあればクリスマスもあり、食に関してもイタリアン、フレンチ、中華といった色々なものが普通に食べられるようになっている。何でも取り入れようという選択肢に規範が無いことは過去の長い歴史から続いてきた考えであり、本研究で言えば、この考えがコーヒー市場にも存在しており製品数が多いことに繋がっているのではないかと考えられる。

 

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*1:※4 辻村英之(2009)「美味しいコーヒーの経済論」より引用

第2章 コーヒーの需要と供給、日本市場の特質②|世界第4位 日本のコーヒー市場の変遷と特質 ~輸入と消費~

世界第4位の市場規模を誇る日本のコーヒー市場は、世界でも例を見ない市場の特質と消費者嗜好があります。本稿では日本のコーヒー市場に着目し、細部にわたる市場分析から、日本のコーヒー市場の特質と特有な消費者志向を四章構成のレポート形式でお伝えしていきます。 

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コーヒーの需要と供給  (2-3)

 

主要輸入国の需要と供給  (2-3-1)

表7 各コクの生豆輸入量・自国消費量・再輸出比率の比較
表7  各国の生豆輸入量・自国消費率・再輸出比率の比較
生豆輸入量(1,000俵) 自国消費率(%) 再輸出比率(%)
1 U.S 26,088 1 キプロス 99 1 ベルギー 81.6
2 ドイツ 20,926 2 ノルウェー 99 2 ハンガリー 77.5
3 イタリア 8,362 3 ルーマニア 95 3 スロバキア 73.5
4 日本 7,544 4 スロベニア 93 4 ドイツ 60.2
5 フランス 6,991 5 日本 93 5 スイス 57
6 ベルギー 5,828 6 ギリシャ 89 6 オランダ 48.5
7 スペイン 4,821 7 フランス 85 7 ポーランド 46.7
8 イギリス 4,183 8 アイルランド 85.2 8 イタリア 35.2
9 ポーランド 3,397 9 フィンランド 84.9 9 スペイン 34.4
10 オランダ 2,775 10 U.S 84.5 10 ルクセンブルク 34.3
11 スイス 2,498 11 ポルトガル 82.6 11 スウェーデン 31.6
12 スウェーデン 1,647 12 デンマーク 80.6 12 イギリス 28.7
13 オーストリア 1,452 13 オーストリア 76.9 13 オーストリア 25.1
14 フィンランド 1,287 14 イギリス 69.9 14 ポルトガル 20.7
15 ギリシャ 1,155 15 スウェーデン 68.3 15 アイルランド 17.6
16 ポルトガル 1,030 16 イタリア 68 16 スロベニア 16.1
17 デンマーク 945 17 ルクセンブルク 65.7 17 フランス 14.6
18 ルーマニア 844 18 スペイン 65.3 18 ギリシャ 14.5
19 ノルウェー 795 19 ポーランド 59.9 19 U.S 13
20 スロバキア 777 20 スロバキア 49.9 20 フィンランド 12.1
21 ハンガリー 640 21 ドイツ 45.2 21 デンマーク 11.9
22 ルクセンブルク 324 22 スイス 41.4 22 ルーマニア 6.4
23 スロベニア 223 23 オランダ 32.8 23 ノルウェー 1.5
24 アイルランド 210 24 ハンガリー 28.1 24 キプロス 1.2
25 キプロス 82 25 ベルギー 16 25 日本 0.9
(注)再輸出は生豆の他に、焙煎豆とインスタントコーヒーを含む。
資料)ICO統計をもとに作成

上の表7は各輸入国の自国消費率と再輸出率を示したものである。これから分かるように、輸入された生豆は自国で消費されるというわけではなく、生産国から一度輸入してまた他国へ輸出する再輸出を行っている国が多くあることが分かる。

我が国日本はアメリカとフランスと同じように自国消費率が高い国である。そして、ドイツやイタリアは、自国消費率が低く再輸出量が高い。コーヒーの主要消費国は主に北半球の国々とされている。その中で、大半の国々はE.U圏であることが、以前に示した表3から分かる。コーヒーの消費がE.Uに集中することから再輸出も盛んにさせていると考えられる。

次の図8では、E.U主要国の輸入量、自国消費量、再輸出量を示した図である。

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図8 E.U主要国の輸入量、消費量、再輸出量(2011年)

 

ドイツとベルギーは生豆輸出量が国内での消費量を上回っていることが分かる。ドイツはE.Uで一番大きなマーケットを形成しており、E.Uのコーヒー市場を約23%シェアしている。コーヒーに関る産業も発展しており、生豆に限らず国内で焙煎され製品化したものなども再輸出しているため、特に再輸出量ではE.U全体の約3割を占めとても大きなものとなっている。再輸出の相手国はポーランド、米国、隣国が主である。またベルギーもドイツと似たようなマーケットを形成しており、輸入量における再輸出量の割合はドイツよりもはるかに大きい。  

E.Uは他の地域には無い、コミュニティーを形成しており、それぞれの国がそれぞれの役割を果たし、お互いに良い関係を築いているかのように思える。また、特に生豆を再輸出することに関しては、輸入する国にとっては生産国から輸入するよりも輸送距離などの面からコストがかからずに仕入れることが出来るので、かなりの利点があるのではないだろうか。

各国の特徴として、以下のように示した。(以下、オランダ外務省CBI HPをもとに作成)

 

ドイツ

輸入と消費では世界ではアメリカに次ぐ2位となっている。E.Uのコーヒー市場では23%(2010年)シェアしており1番大きいマーケットを持っている。また、加工業が発達しておりE.Uでは1番大きな加工品輸出国となっている。生豆の再輸出量でもE.Uで1位となっており、その量は輸入した生豆の約30%とされている。加工品輸出先と生豆再輸出先は主にE.U域内となっており、E.Uでは欠かせない存在となっている。

 

フランス

E.Uで3番目に大きいコーヒー市場で14%シェアしている。加工品においてはE.U最大の輸入量でE.U総輸入の19%に及ぶことがフランスの大きな特徴として挙げられる。主要輸入先は生豆生産国である発展途上国ではなく、ドイツやベルギーなどのE.U域内から輸入される。

 

ベルギー

E.Uにおいて、生豆輸入量3位、生豆再輸出量2位となっている。輸入される生豆の約70%がオランダやフランスへ再輸出される。再輸出量が多い分、国内における消費はかなり低いことがベルギーの特徴である。

 

イタリア

輸入量、消費量、加工品輸出量がどれもE.Uで2位となっている。ドイツのように国内の加工産業が発達している。生豆輸入のうちの約23%が加工品となってドイツやフランスなどに輸出される。この量はE.U総輸出の19%を占める。

 

スペイン

E.Uで4番目に大きいコーヒー市場を持つ。生豆輸入量もEU4番目となっている。生豆の再輸出量では3位となっており、生豆輸入の11%がスイス、ポルトガル、イギリスなどに再輸出されている。 

 

 日本のコーヒーの需要と供給  (2-3-2)

 日本のコーヒー需要は家庭用、業務用、工業用の3つに分かれる。家庭用には袋入りや缶入りで販売され、家庭で飲用されるもの。業務用はレストランやカフェ・喫茶店向けのもの。工業用は缶コーヒーやリキッドコーヒーに利用されるもの。

また商品の形態として、レギュラーコーヒー、インスタントコーヒーにも分かれる。レギュラーコーヒーは一般的に豆を焙煎後に粉砕されて販売されているものとされていないものがある。インスタントコーヒーは、豆から成分を抽出後、フリーズドライ製法やスプレードライ製法により長期間の保存を可能にし、簡便になったもの。

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図9 農園から最終消費者までの経路

 

表8 日本のコーヒーの需給表

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図10 国内需給グラフ


日本の需給表を前の表8と図10に示した。レギュラーコーヒーの消費量が、インスタントコーヒーよりも圧倒的に多いことが分かる。特にレギュラーコーヒーの消費量は、生豆換算で見ると近年の2013年が過去最高の消費量となっている。他にも供給計と消費計でも、現在が過去最高である。  

インスタントコーヒーの方が手軽に飲めるにも関わらず、レギュラーコーヒーよりも需要が少ないことが大きな特徴といえる。レギュラーコーヒーの需要が多い要因は次の第3章の(2)のところで述べるとする。

 

コーヒーの製品カテゴリー  (2-4)

 製品のカテゴリーと製造工程を以下に示した。

レギュラーコーヒー(RC)

 焙煎したコーヒー豆や粉砕したコーヒー粉をいう。 国内市場でRCは産地名の単品からブレンドしたものまで販売されている。世界で1番種類が多く、且つ包装形態も多様であるため、600種類以上の商品が存在するとされている。 日本のRCは、国際的に比較すると種類が多く鮮度管理費も高いためにRC価格は高い。欧米では少ない種類を大量に生産するという方法を。日本では、種類が多く消費者はフレッシュなものを求める傾向が強いため賞味期限以内でも処分しなければない。

 インスタントコーヒー(IC)

 発明者は日本人化学者 加藤博士である。1901年にアメリカのニューヨーク州バッファローで開催されたパンアメリカン博覧会にSoluble Coffee(可溶性のコーヒー)として出品したのが最初である。しかし、特許を取ったのはアメリカ人のG・ワシントンであった。 ICはブラジルのコーヒー過剰生産が問題となったのをきっかけに、1939年にスイスのネスレ社が量産化に成功している。 一方、日本では昭和17年に海軍の要請で国産化したが、一般消費者には普及しなかった。しかし、戦後に食生活の欧米化や占領国からの食料援助が小麦だったため、パンの普及がコーヒーの消費拡大に結び付いている。  製造方法は、コーヒー液の抽出まではRCまでと全く同じである。ICは抽出後はその液を遠心分離し小さなコーヒー豆のカスなどを取り除き濃縮する。その後、噴霧乾燥法(スプレードライ製法)と凍結乾燥法(フリーズドライ製法)の2つの方法に分かれる。最後に包装工程を経て製品となる。

リキッドコーヒー

缶やボトルの容器に入っており、どこへでも持ち運びができる液体コーヒーをいう。 日本で開発された製品である。欧米では冷たいコーヒーを飲む習慣がない。日本では業務用、家庭用に並ぶ第3の市場である工業用市場。最初の製品は、戦前から販売されている牛乳瓶に入ったコーヒー牛乳に用いられた。その後、1969年にはUCC上島珈琲(株)が缶コーヒーを販売し、市場を大きく展開することになる。缶コーヒー市場では更に、自動販売機が普及するに連れて需要が拡大し、冬でも飲めるようホットで発売すると更に需要が増加した。  

 エキス類調製品

日本独自の輸入商品でリキッドコーヒーの原材料として開発されたものである。関税分類として加糖調製品と無糖調製品に分けられる。前者の加糖調製品はICに砂糖が混入したものである。開発された当時は砂糖の輸入関税を安く抑えるために、ブラジルなどの生産国で製造し輸入していた。無糖調整品は砂糖が入っていない濃縮液で、品質が加糖調製品よりも優れており輸入数量は年々増加。加工用原料として定着している。 

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図11は製造工程を示したものである。選別から粉砕まではどの製品も同じである。レギュラーコーヒーは製造工程が最も少ない。インスタントコーヒーは抽出後遠心分離理を行い、不純物を取り除く。乾燥方法はフリーズドライ製法とスプレードライ製法の2種に分かれる。この製法によりコーヒー抽出液を個体にさせ製品とさせる。缶やボトルコーヒーは抽出後、無糖、微糖、ミルク入りなどの最終製品に合わせた調合を行い包装後製品となる。

 

 

 

日本のコーヒー市場の特質  (2-5)

嗜好飲料とコーヒー  (2-5-1)

 

表9 嗜好飲料類の生産実績                単位:t
名目 2005年 2006年 2007年 2008年 2009年 2010年 2011年 2012年 2013年
緑茶 緑茶 114,100 101,500 102,065 101,125 89,907 88,674 87,106 91,022 89,000
ウーロン茶 17,000 16,500 17,500 16,100 14,900 15,100 14,660 14,150 14,000
麦茶 43,300 41,000 47,850 51,670 50,130 54,000 54,150 52,500 53,500
紅茶 紅茶 15,800 16,650 16,950 17,450 17,600 18,870 19,060 18,090 17,350
IT 7,010 7,070 7,300 7,600 8,800 10,440 11,380 12,000 13,800
22,810 23,720 24,250 25,450 26,400 29,310 30,440 30,090 31,150
コーヒー IC 41,800 43,000 40,500 41,200 41,000 43,000 43,200 45,000 46,000
RC 141,000 144,000 146,000 151,000 147,000 145,400 149,500 141,900 151,000
工業用コーヒー 98,000 100,000 103,000 103,000 103,000 101,600 102,600 102,600 102,800
280,800 287,000 289,500 288,900 291,000 299,600 295,300 296,600 299,800
ココア 22,350 21,100 20,390 19,990 19,960 20,010 20,140 20,180 20,980
合計 500,360 490,820 501,555 509,135 492,297 506,694 501,796 504,542 508,430
注:ITとはティーパック製品等のインスタントティーを指す。
資料)日刊経済通信社調をもとに作成

 

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2005年からの統計実績によれば、嗜好飲料類の総生産実績は50万t前後で、金額でいえば92億円~94億円の規模を保っており大きな変動がなく安定的である。2008年のリーマンショックによる金融恐慌や、2011年の震災の影響は嗜好飲料類全体の値から見れば大きな影響は無いとされている。

茶類で見ると、緑茶とインスタントティーが大きく変動している。緑茶は2005年をピークに年々減少が続いている。2005年には11.4万tだったのが、近年の2012では9.1万t、2013年見込みではさらに落ち8.9万tと推定されている。緑茶は2011年の震災の風評被害も受けたこともあり、2005年からの落ち込みは更に加速した。一方で、表9から、IT(インスタントティー)の生産が好調で、2005年から2013年見込みまで落ち込むことなく順調に上昇し続けている。

嗜好飲料全体のうちコーヒーの合計は約50%を占め、レギュラーコーヒーだけでは全体の約30%を占めており、他の品目と比較すると非常に高い生産量となっている。レギュラーコーヒーの生産量のピークは2010年の15.5万tで金額は28.6億円である。しかし、同年の末からの原料豆価格が高騰し翌年、翌々年の数字は落ち込んでいる。2012年に価格高騰は治まったため、2013年見込みは15万t超と推定されている。

 

レギュラーコーヒーの製品形態別の需要   (2-5-2)

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1960年にコーヒー生豆が自由化されて以降、今日まで生産量と販売金額が共に増加し続けている。当初は缶詰のレギュラーコーヒーや真空フィルム包装の形態であり、量販店などで販売されることで家庭用レギュラーコーヒーは普及していった。1969年に缶コーヒーが誕生し、1970年代の後半からその原料となる工業用のレギュラーコーヒーも増え始めた。これら2つが生産量と販売金額を急増化させる大きな要因となる。  

1970年から近年の2012年までを見ると、家庭用と工業用が大きく増加し続けている。工業用では、1975年まで全体の1割にも満たしていなかったが1980年以降急増化し、缶コーヒーやボトルコーヒーの普及の影響もあって1995年に業務用と家庭用を超える生産量となる。2012年まで減少することなく伸び続けてきた。ピークは2010年で総生産量247,000t、売上げ金額32億3,300万円である。業務用は大きな変化を見せることのない生産量となっている。1990年でピークとなり以降、急激な変化を見せることがなくほぼ横ばいである。

家庭用コーヒーは、近年では工業用コーヒーには生産量が劣るが、現在まで工業用コーヒーと同じく生産量が増加し続けており、また様々な製品形態や消費者志向の変化などもあって非常に興味深い市場となっている。

3章ではこの家庭用コーヒー市場に焦点を当てて細分化していき市場の特質について見ていく。

 

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第2章 コーヒーの需要と供給、日本市場の特質①|世界第4位 日本のコーヒー市場の変遷と特質 ~輸入と消費~

世界第4位の市場規模を誇る日本のコーヒー市場は、世界でも例を見ない市場の特質と消費者嗜好があります。本稿では日本のコーヒー市場に着目し、細部にわたる市場分析から、日本のコーヒー市場の特質と特有な消費者志向を四章構成のレポート形式でお伝えしていきます。 

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コーヒーの生産  (2-1)

コーヒーを飲み物として飲み始めたのは、15世紀半ばにエチオピアで発見されたコーヒーがアラビア半島に持ち込まれ、イスラム教界を中心に広まったと言われている。

コーヒー豆は気候に適している地域でしか生産出来ないため、南北緯25度の赤道付近に位置している国々(コーヒーベルト)を中心に栽培・生産されている。したがって、日本を含む北側の国々はコーヒー生産に気候が適さないため、消費国となり100%輸入に頼っている。

世界では約60か国で栽培・生産されている。その気候条件とは、年間平均気温が20度前後、年間降水量が1,200mm~3,000mmの地域、肥沃で質の良い土壌と適度な日照と寒暖差が必要である。これにより、日本を含む北側の国は栽培が出来ないためほとんど輸入に頼っている。

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図1 主な生産国とコーヒーベルト(出所:味の素ゼネラルフーズHP)

コーヒーは、アカネ科コフィア属である「コーヒーノキ」と呼ばれる常緑樹のコーヒーチェリーの種子がコーヒー豆となる。主に流通しているのが、アラビカ種が約7割、カネフォラ(ロブスタ)種が約3割である。アラビカ種はカネフォラ種よりも味や風味などの品質は良いが、耐病性が低く高度な栽培条件が必要となる。一方のカネフォラ種は、病虫害に強く栽培管理がしやすいが、品質はアラビカ種に劣る。

コーヒーの栽培は、育苗、定植、開花、結実、収穫の手順で行われる。結実までは約3年かかる。そして、収穫は多い年と少ない年が交互にあるため、生産者は長期的で安定な収穫を得るため様々な技術を取り入れている。特に代表的なものが、枯葉や木の葉をコーヒーの木の根の周辺に置き乾燥防止や土壌有機物の分解促進などの効果を得るマルチングという方法、シェードツリーと言われる高木を植えてコーヒーノキに日陰の下で栽培する方法、木の健康と栄養を保ち光合成だけでは補えない養分を与える肥培管理、木の幹を地上30~40cmと部分を切るカットバック、以上4つが代表的な栽培技術である。 

収穫されたコーヒーチェリーから生豆を取り出す方法として、非水洗処理(ナチュラル)方式と水洗処理(ウォッシュド)方式の大きく分けて2つの処理方式がある。非水洗処理方式はチェリーをそのまま乾燥させて生豆を取り出す方法。水洗処理方式はチェリーの外皮と果肉を取り除いたパーチメントという状態のものを発酵槽に入れて、パーチメントについた粘液質を取り除く。その後、乾燥させて脱殻し中から生豆を取り出すという方法。水洗処理方式の方がコストや自然環境に与える影響が大きく、またキレイな水が必要などの条件が揃っていなければいけないため、生産者はそれぞれに見合った方法を取り入れている。

 

表1 コーヒーの世界生産量上位5か国 
表1 コーヒーの世界生産量上位5か国
国名 2008 2009 2010 2011 2012 2013
1 ブラジル 53,300 44,800 54,500 49,200 56,100 52,700
2 ベトナム 16,980 18,500 19,415 26,000 24,950 24,800
3 インドネシア 10,000 10,500 9,325 8,300 10,500 9,200
4 コロンビア 8,664 8,100 8,525 7,655 9,000 9,000
5 エチオピア 5,500 6,000 6,125 6,320 6,325 6,350
上位5か国総生産量 94,444 87,900 97,890 97,475 106,875 102,050
世界総生産量 136,239 128,491 140,447 143,798 150,711 146,325
(単位:60㎏ 1,000袋)
資料)米国農務省〈USDA〉統計をもとに作成

 

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図2 世界のコーヒー生産量上位5か国の割合(米国農務省「USDA」を基に作成)

表1は世界のコーヒー生産国において、生産量上位5か国の過去5年間のデータを示している。1位であるブラジルの生産量が5,000,000袋以上で圧倒的に高いことが分かる。2位のベトナムでは、2008年から2011年までの4年間で生産量が急増し、3位のインドネシアとの差は大きなものとなっている。

図2の割合で見るとブラジルは36%を占めている。世界最大の産出国であるために国際相場への影響が大きく、例えばブラジルで豊作であれば、他国のコーヒーの価格が下がり、逆に不作であれば他国産は価格が上がるという現象が起こる。ブラジルの農園では大規模な農園が1つになり近代的な農業が行われている。また、住居、教会、学校などが設けられている大農園もあり、コーヒー産業はブラジルでとても重要な産業となっている。 

生産国と消費国のコーヒーの取引は、先物取引という形式がとられている。先物取引現物取引とは異なり、前もって決められた期日に決められた価格で商品が取引される形式である。気候や自然災害など影響で価格変動しやすいコーヒーに適した方法がとられている。この先物取引は、ニューヨークとロンドンが世界的に主要な取引所とされている。

日本では東京穀物商品取引所がある。現物の受け渡しは横浜港、名古屋港、神戸港で行われる。

 

コーヒーの輸入と消費  (2-2)

 

主要輸入国のコーヒー輸入  (2-2-1)

世界の主要輸入国の国別生豆輸入量を、ICO(国際コーヒー協会)の統計を基に次の表2に示した。2012年において、1位がアメリカ(26,066,000袋)、2位がドイツ(21,816,000袋)、3位がイタリア(8,691,000袋)、4位が日本(7,025,000袋)となっている。1位2位と3位のイタリアの差は大きく、ドイツはイタリアの2.5倍もの差があることが分かる。上位5か国を含める約半数の国が近年では2011年にそれぞれ過去最高値を示していることから、コーヒーは世界的に普及してきていることが分かる。

 表2 輸入国の生豆輸入量
表2 輸入国のコーヒー生豆輸入量
1990 1995 2000 2005 2008 2009 2010 2011 2012
1 U.S 21,006 17,106 23,767 23,042 24,277 23,578 24,378 26,093 26,066
2 ドイツ 13,670 12,851 13,895 16,716 19,876 19,416 20,603 20,926 21,816
3 イタリア 5,241 5,387 6,315 7,269 8,172 8,078 8,236 8,362 8,691
4 日本 5,329 5,489 6,908 7,408 7,060 7,090 7,407 7,544 7,025
5 フランス 6,301 6,213 6,520 5,714 6,252 6,670 6,717 6,991 6,840
6 ベルギー 3,491 4,063 6,792 5,916 5,924 5,828 5,668
7 スペイン 3,053 3,145 3,768 4,356 4,864 4,811 5,034 4,821 5,094
8 イギリス 2,898 2,806 3,012 3,433 3,967 4,131 4,302 4,183 4,126
9 ポーランド 435 1,770 2,576 2,792 2,460 3,162 3,279 3,397 3,539
10 オランダ 3,128 2,910 2,966 1,988 2,304 2,502 2,583 2,775 2,730
11 スイス 1,170 1,016 1,171 1,641 1,978 2,101 2,318 2,498 2,478
12 スウェーデン 1,766 1,420 1,344 1,693 1,804 1,659 1,727 1,647 1,680
13 オーストリア 1,879 1,231 1,257 1,577 1,901 1,309 1,369 1,452 1,559
14 ギリシャ 641 522 798 931 1,056 1,046 1,061 1,155 1,244
15 フィンランド 1,095 769 1,063 1,156 1,285 1,243 1,274 1,287 1,238
16 ポルトガル 551 633 811 831 885 887 945 1,030 1,028
17 デンマーク 959 877 1,022 993 900 870 1,057 945 914
18 ハンガリー 573 519 790 852 811 704 727 640 748
19 ノルウェー 742 662 662 753 722 724 759 795 735
20 ルクセンブルク 232 331 351 330 349 324 322
21 アイルランド 129 114 155 251 127 142 165 210 252
(単位:60㎏ 1,000袋)
資料)国際コーヒー機関ICO統計より

 

日本のコーヒー輸入  (2-2-2)

日本に初めてコーヒーが伝わったのは1690年頃、鎖国時代に長崎の出島で、オランダ人が一部の日本人にコーヒーを提供したのが最初と言われている。しかし、そこからコーヒーの存在が広く知られることはなかった。日本でのコーヒーの存在は1800年代に広く知られるようになる。1804年に太田蜀山人という人物が、日本人で初となるコーヒー飲用体験記を残した。1856年に商品として初めてオランダからコーヒーが入荷し、2年後の1858年に日米修好通商条約調印で日本における自由貿易が開始され、コーヒーの輸入が始まる。1866年に、日本で初めてコーヒーを含めた輸入関税が決まり、1877年に正式にコーヒーが輸入された。次の表3と図4は日本のコーヒーの輸入量の推移を示しており、輸入が正式に開始された1877年からのデータを示している。1888年には東京の上野に日本初の喫茶店「可否茶館」ができ、第2次世界大戦までは輸入量が伸び続けた。1939年に第2次世界大戦が始まるとコーヒーの暗黒時代と言われ、輸入量がほぼゼロとなった。

戦後、1950年の生豆輸入の再開が始まってから、1960年の生豆輸入の自由化、1961年のインスタントコーヒーの輸入自由化、1970年のレギュラーコーヒーの輸入自由化を経て2006年のピークまでの約50年間は生豆換算合計で見ると上昇し続けていることが分かる。

生豆合計換算では2006年の458,507tが最高値であるにも関わらず、焙煎豆、ICを見てみると現在の2012年まで上昇し続けており、現在がピーク値であることが分かる。コーヒーエキス調整品は、2002年をピークに以降減少傾向にある。これらから、近年ではコーヒー飲料やコーヒー菓子などのコーヒーエキスを使用した製品ではなく、コーヒーという飲み物の本質的な味を好む消費者が増えてきているのではないかと考えられる。

次の表3や図4から分かるように、焙煎豆やインスタントコーヒーのような既に加工されているものよりも、加工されていない生豆の状態での輸入が圧倒的な量であることが分かる。近年においては減少傾向にあるものの未だ大半を占めている。日本は加工業が盛んなのではないかと考えられる。

 表3 日本のコーヒー輸入量推移
表3 日本のコーヒーの輸入量の推移
年次 生豆 焙煎豆 IC コーヒーエキス調整品 計(生豆換算)
1877 18  -  -  - 18
1930 1,887  -  -  - 1,887
1937 8,571  -  -  - 8,571
1942 244  -  -  - 244
1950 40 123  -  - 163
1955 3,993 105  -  - 4,098
1960 10,707 75 84  - 10,866
1965 18,647 51 10,536  - 29,234
1970 80,496 50 8,910  - 89,456
1975 109,409 290 12,324  - 122,023
1980 174,747 126 18,999 422 194,294
1985 231,193 237 15,699 5,818 252,947
1990 291,339 3,130 14,830 15,542 324,841
1996 326,914 3,972 15,746 14,913 361,545
1998 332,386 1,880 18,000 11,064 363,330
2000 382,230 3,271 18,660 11,929 416,090
2002 400,771 4,843 22,009 12,116 439,739
2004 400,977 4,939 19,846 10,371 436,133
2006 422,696 6,650 19,354 9,807 458,507
2008 387,538 7,916 20,410 7,793 423,657
2010 410,530 7,510 19,357 7,090 444,487
2012 379,982 8,801 26,887 5,950 421,620
(単位t)
資料)財務省「通関統計」より作成

 

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主要輸入国のコーヒー消費  (2-2-3)

主要輸入国の生豆消費量を次の表4に示した。コーヒーの生豆消費は生産国でも行われているが、ここでは輸入国における消費量を示した。2012年において、アメリカの消費量は圧倒的に高く、2位のドイツの約3倍も多い消費量である。日本は1位のアメリカ、2位のドイツに次いで3位の消費国であることが分かる。どの国も1990年と2012年を比較すると2012年の方が多く、日本以外の国は約1.2倍の上昇、日本は約1.4倍の上昇で一番多い伸び率である。アメリカとフランスは2012年が過去最高値を示しており、以降も伸び続ける可能性が十分に考えられる。日本を含むその他の国は増加よりも減少し続ける可能性の方が高いと考えられる。

日本は1990年からピーク時の2006年までは約2,000袋の増加で、この年は国内の喫茶店やカフェの店舗数もピークに達していた。それ以降はわずかに後退しているが、世界的に見れば世界3位のコーヒー消費大国であり、世界のコーヒー需給量に大きな影響を与えている。

このように、欧米を中心とした主要消費国は、生産国との輸入の関係を中心に関係を形成している。

 表4 輸入国における国別生豆消費量
表4 輸入国における国別生豆消費量
  1990 2000 2005 2008 2009 2010 2011 2012
1 US 18,298 18,746 20,998 21,652 21,436 21,783 22,044 22,238
2 ドイツ 7,279 8,770 8,665 9,535 8,897 9,292 9,460 8,830
3 日本 5,060 6,626 7,128 7,065 7,130 7,192 7,015 7,131
4 フランス 5,205 5,402 4,787 5,152 5,677 5,713 5,962 5,789
5 イタリア 4,832 5,149 5,552 5,892 5,806 5,781 5,689 5,731
6 スペイン 2,714 2,991 3,007 3,485 3,352 3,232 3,149 3,435
7 イギリス 2,348 2,342 2,680 3,067 3,220 3,134 2,925 2,926
8 ポーランド 335 2,046 2,267 1,681 2,001 2,156 2,034 1,950
9 オランダ 2,383 1,860 1,927 1,324 898 1,347 909 1,382
10 オーストリア 1,340 875 772 908 886 903 1,117 1,269
11 スウェーデン 1,689 1,173 1,170 1,272 1,133 1,221 1,125 1,159
12 フィンランド 1,070 967 1,102 1,115 1,058 1,080 1,093 1,082
13 ギリシャ 631 687 870 798 974 994 1,023 1,076
14 スイス 907 827 1,099 1,149 966 1,012 1,035 1,047
15 ベルギー  - 1,133 1,158 650 934 871 934 915
16 ポルトガル 467 646 656 654 709 812 851 815
17 デンマーク 865 791 795 688 676 806 762 802
18 ノルウェー 727 657 743 715 715 746 785 723
19 アイルランド 120 83 223 115 134 160 179 215
20 ルクセンブルク  - 144 227 239 222 232 213 212
(単位:1,000袋)
資料)国際コーヒー機関ICO統計より作成

 

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次の表5は輸入国の1人当たりの消費量をしめしたものである。2011年で見ると、日本は表2の国別消費量では世界3位であったが、1人当たりの消費量では19位に位置しており、さらに、輸入量・消費量で1位となっているアメリカも17位という低い位置にいる。唯一ドイツがやや高い8位に位置している。1位がルクセンブルクで26.09kg / 年 / 人という圧倒的に高い量を示している。1位と2位の差は大きくルクセンブルクは2位のフィンランドの約2倍である。国別の消費量で高い値を示さない国が1人当たりの消費量では上位に位置している。

 表5 輸入国の年間1人当たりのコーヒー消費量
表5 輸入国の年間1人当たりのコーヒー消費量
  2007 2008 2009 2010 2011
1 ルクセンブルク 31 30 27 28 26
2 フィンランド 12 13 12 12 12
3 ノルウェー 10 9 9 9 10
4 デンマーク 9 8 7 9 9
5 スイス 8 9 8 8 8
6 オーストリア 6 7 6 6 8
7 スウェーデン 8 8 7 8 7
8 ドイツ 6.2 6.9 6.5 6.7 6.9
9 フランス 5.4 4.9 5.4 5.4 5.7
10 イタリア 5.8 5.9 5.8 5.7 5.6
11 ギリシャ 5.4 5.2 5.2 5.3 5.4
12 ベルギー 6.2 3.6 5.2 4.8 5.2
13 ポルトガル 3.8 3.6 3.9 4.1 4.6
14 スペイン 4.3 4.7 4.4 4.2 4.1
15 U.S 4.0 4.1 4.0 4.1 4.1
16 オランダ 8.3 4.8 3.2 4.8 3.6
17 日本 3.4 3.3 3.3 3.4 3.3
18 ポーランド 2.4 2.6 3.1 3.4 3.2
19 イギリス 2.7 3 3.1 3.04 2.8
20 アイルランド 3.3 1.5 1.7 2 2.3
21 ハンガリー 3.1 2.9 2.6 2.2 1
(単位:kg)
資料)国際コーヒー機関ICO統計より作成

 

図6は1人当たりの消費量と輸入量の関係をICO(国際コーヒー機関)の統計より、ICO加盟国を中心に示した。

輸入量でみるとアメリカとドイツが非常に高い数値を示しているが、1人当たりの消費量ではとても低い。ルクセンブルクが非常に高い。これは、ルクセンブルクの嗜好品に対する関税が安いため、隣国からの買いに来る消費者もいることが大きな要因であると考えられる。

このように見ると、輸入量と1人当たりの消費量は関わりがないことが分かる。ルクセンブルクのように輸入量が低いにも関わらず、1人当たりの消費量が高い国もある。これより、輸入量が高いからといって国民1人当たりの消費量も高いとは言えないことが分かる。では、コーヒー輸入大国・消費大国となっている要因や日本の需要はどのようなものなのかを後の第3節(2)で説明する。

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日本のコーヒーの消費  (2-2-4)

日本国内の嗜好飲料の消費の推移を次の表6に示した。国内の嗜好飲料で現在(2012年)1番消費量が多いのはレギュラーコーヒー(以下RCと記す)で256,930tである。しかし、1990年を100とすると、RCのピークは2007年の159なので現在は減少傾向であることが分かる。

一方で、インスタントコーヒー(以下ICと記す)は2012年は114でRCよりも値が低いものの過去最高値を示しており、現在上昇傾向にある。2012年の消費量でRCとICの合計は302,304tで緑茶と紅茶の合計の約3倍もの値である。

 表6 日本国内の嗜好飲料の消費推移
表6 日本国内の嗜好飲料の消費の推移(1990 =100)
  RC IC 緑茶 紅茶
1980 53 82 114 54
1990 100 100 100 100
1995 123 98 99 127
2000 139 100 112 127
2005 156 105 127 110
2008 150 104 110 127
2009 148 103 98 124
2010 152 109 97 140
2011 146 109 93 141
2012 148 114 97 118
2012年消費量 256,930t 45,374t 89,022t 16,638t
(注)RCとはレギュラーコーヒー、ICとはインスタントコーヒーを意味する。
資料)(一社)全日本コーヒー協会統計、(一社)全国清涼飲料協会統計をもとに作成

 

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第1章 目的と対象|世界第4位 日本のコーヒー市場の変遷と特質 ~輸入と消費~

世界第4位の市場規模を誇る日本のコーヒー市場は、世界でも例を見ない市場の特質と消費者嗜好があります。本稿では日本のコーヒー市場に着目し、細部にわたる市場分析から、日本のコーヒー市場の特質と特有な消費者志向を四章構成のレポート形式でお伝えしていきます。

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レポートタイトル 

『日本のコーヒー市場の変遷と特質 ー世界第4位日本のコーヒー豆輸入と消費ー』

 

目的  (1-1)

コーヒーは世界約60か国以上で生産され、石油に次ぐ国際貿易商品であり、世界中で消費者の生活に今や欠かせない嗜好飲料となっている。

コーヒー生豆(green coffee)は日本国内では生産が出来ないために、全て輸入に頼っている。日本の輸入量は、世界で上位の輸入国である。

ICO※1の統計データによれば、現在日本は、輸入量では世界4位、消費量※2では世界3位である。日本におけるコーヒーの消費は、レギュラーコーヒー、インスタントコーヒー、缶コーヒー、ボトルコーヒーの主に4つの製品形態から成り立っている。また日本人の発想から生まれた缶コーヒーの消費が、日本の特徴の1つとされている。

2012年の市場規模は、レギュラーコーヒーで約377億円、インスタントコーヒーで約698億円という巨大なマーケットを形成している。国内の嗜好飲料の消費では、レギュラーコーヒーとインスタントコーヒーの合計が約50万トンで茶や炭酸飲料を超す消費量となっている(2012年)。

日本は世界で上位の輸入大国、消費大国でありながら国民1人当たりの消費量※3を見ると、世界的に見てかなり少ない。そこで、本稿では日本のコーヒー市場の分析を通し、その要因と市場の特質を検討することにした。嗜好飲料のうちで最も消費量の多いコーヒーは幅広い市場を形成しているため、その第一歩として家庭用市場についてその要因と市場の特徴を考察することにした。

 *1 *2 *3

先行研究の紹介  (1-2)

辻村英之(2009)「おいしいコーヒーの経済論 辻村英之」を本稿の先行研究とする。コーヒーの生産から消費に至るまでの内容を参考とし、本稿の作成にあたっていく。

この先行研究はコーヒーの生産者(本先行研究ではタンザニアキリマンジャロ山付近を生産地とする)と消費者は経済的に不公平な関係にあり、貿易取引に見られる不公平さについての考察をテーマにしている。また、フードシステム、価格形成、生産者の経済経営、および日本のコーヒー産業を踏まえてコーヒー生産国と消費国が共に経済発展していくことも目的としている。

 

本稿の構成  (1-3)

これ以降は以下のような構成で分析を進める。

2章では、コーヒーの生産から消費者に至るまでの概要や、日本を含めた世界各国の輸入量・消費量を説明しその中で日本のコーヒー市場はどのようなものかを説明する。

3章では、家庭用レギュラー市場に着目し、そこから日本のコーヒー市場の特質を細かく分析していく。

4章では、本稿全体から分かる日本のコーヒー市場の特質と課題について述べる。

 

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*1:※1 ICO(International CoffeeOrganization)とは国際コーヒー機関を指す。本研究では、ロシア、カナダ、オーストラリア等のICO非加盟国は研究対象外とする。

*2:※2 本稿では、消費量とは生豆を加工した時点で消費量とみなす。

*3:※3 本稿では、1人当たりの消費量とは、最終消費者がコーヒーを飲用した量を指す。